2014年11月17日(月)
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信頼性および耐久性の高い接着・接合部を得ることを目的とする人に対し,接着の原理,接着剤選定法,被着材の表面処理などの基礎的事項ならびに代表的な接着継手形式の応力分布,強度特性,継手の変形と破壊条件の決定法,強い接着継手を設計するための留意事項等について解説します。
また,異種材料の接着,樹脂射出一体成形法,レーザ溶接法など最新の接合法および接着接合部劣化の3大要因である温度、水分、および応力による影響について詳しく解説します。
さらに,経年劣化による故障発生のメカニズム,信頼性工学理論に基づく接着接合部の希望故障確率を与える安全率の計算方法,温度,湿度,および応力負荷条件下の継手の加速試験による寿命予測法,接着-スポット溶接併用継手および接着-リベット併用継手の利点および疲労強度,継手のクリープ破壊強度・試験方法,接着トラブル事例,原因別分類とその対策についても解説し,最後に,ご質問に対し講師の45年間にわたる接着についての実務経験に基づきご回答します。
1.接着力発現の原理
(1)化学的接着説〔a.原子・分子間引力発生のメカニズム b.接着剤の役割〕
(2)機械的接合説(アンカー効果)
(3)接着仕事
(4)シーリング材の接着力発現の原理と役割
(5)粘着剤の接着力発現の原理と役割
2.各被着材に適した接着剤の選定法
(1)Zismanの臨界表面張力
(2)溶解度パラメーター
3.接着剤の種類,特徴,および最適接着剤の選定法
(1)各接着剤の種類
(2)接着剤の耐薬品性および耐候性について
(3)各種接着剤のせん断およびはく離接着強度特性
(4)各種被着材に適した接着剤の選び方
4.被着材に対する表面処理法の選定法
(1)各種表面処理法およびその特徴
(2)金属の表面処理法
a.炭素鋼
b.ステンレス鋼
c.アルミニウム
d.銅およびニッケル箔の表面処理状態とはく離エネルギーとの関係
e.化学的粗面化(ケミブラスト)
(3)プラスチックの表面処理
a.洗浄および粗面化
b.コロナ放電処理
c.プラズマ処理
d.UV/オゾン処理
e.火炎処理
f.各種表面処理方法
g.プライマー処理
h.結晶性エンジニアリングプラスチックが難接着性である理由とその表面処理法
5.最新の異種材料接合法
(1)金属の湿式表面処理-接着・加硫法:ケミブラスト®〔日本パーカライジング(株)〕
(2)金属の湿式表面処理-接着法:NAT〔大成プラス(株)〕
(3)金属の湿式表面処理-樹脂射出一体成形法
:a.NMT,NMT2,新NMT〔大成プラス(株)〕 b.Quick10〔ポリプラスチック(株)〕
c.PAL-fit〔日本軽金属(株)―ポリプラスチック(株)〕
d.アルプラス〔コロナ工業(株)〕 e.TRI〔東亜電化(株)〕
(4)金属のレーザ処理-樹脂射出一体成形法
:a.レザリッジ®〔ヤマセ電気(株)-ポリプラスチック(株) 〕b.D LAMP®〔(株)ダイセル〕
(5)フィラー強化樹脂のレーザ処理-異材樹脂射出成形法:AKI-Lock®〔ポリプラスチック(株)〕
(6)金属―樹脂レーザ接合法:LAMP〔大阪大学〕
(7)金属の陽極酸化処理-樹脂のレーザ接合法:名古屋工業大学
(8)金属・セラミックス・樹脂の化学接合法(接着剤レス):CB処理〔新技術研究所(ATI)〕
6.接着継手形式および負荷外力の種類
a.接着接合の長所と短所
b.各種接着継手形式
c.接着部加わる外力の種類
7.各継手の応力分布および強度
(1)重ね合せ継手
a.応力解析結果(解析解およびFEM)
b.エネルギーバランス式
c.Al被着剤のせん断破壊荷重に関する実験および弾塑性FEM解析による検討
d.Cohesive Zone Model(CZM)解析法と
混合モード破壊クライテリオンを用いた単純重ね合せ継手の挙動の解析例
e.バルク接着剤の容積と引張強度および接着層厚さと接着強度との関係
(2)スカーフおよびバット接着継手のFEM応力解析および混合モード条件下の破壊条件
(3)はく離応力の解析
〔a.可撓性被着材のはく離による応力分布 b.はく離角度による応力分布の変化
c.線形弾性エネルギーバランスによるせん断強度とはく離強度の統一的解析〕
(4)スポット溶接-接着併用継手のFEM応力解析結果
8.最適接合部の選択
(1)強い接着接合部を設計するための一般的留意事項
(2)接着接合部の選択
〔a.板の接合構造 b.ハット形補強材の接合構造 c.はく離力への対応策
d.管および棒の接着接合部の設計例〕
9.接着接合部劣化の3大要因
(1)接着界面へ水分が浸入することによる劣化の促進
(2)温度による物理的および化学的劣化の加速
(3)応力による物理的および化学的劣化の加速
10.経年劣化(強度低下およびばらつき増加)による
故障率の増加について(ストレス-強度のモデル)
11.加速係数
12.所定年数使用後の接着接合部に要求される故障確率確保に必要な安全率の計算法
(1)正規分布について
(2)負荷応力(ストレス)が一定値の場合の安全率の計算法
(3)負荷応力(ストレス)が分布する場合の安全率の計算法
13.アレニウスモデル(温度条件)による耐久性加速試験および寿命推定法
(1)化学反応速度式と反応次数
(2)濃度と反応速度との関係
〔a.0次反応の場合 b.1次反応の場合 c.2次反応の場合〕
(3)材料の寿命の決定法
(4)反応速度定数と温度との関係
(5)アレニウス式を用いた寿命推定法
14.アイリングモデルによるストレス、湿度負荷、
および水浸漬条件下の耐久性加速試験および寿命推定法
(1)アイリングの式を用いた寿命推定法
(2)アイリング式を用いた湿度に対する耐久性評価法
〔a.絶対水蒸気圧 b.相対湿度モデル1
c.相対湿度モデル2(Lycoudesモデル)(寿命予測の具体例)〕
(3)Sustained Load Test
(4)JIS K 6867;ISO10354 接着剤
-構造接着接合品の耐久性試験方法
-くさび破壊法(ウェッジテスト)による耐湿および耐水性試験方法
(5)アルミニウム合金のエッチングと耐久性との関係
〔a.アルミニウムのエッチングにより生成した酸化皮膜
b.アルミニウムのエッチング法と耐久性との関係〕
15.金属/接着界面の耐水安定性についての熱力学的検討
16.接着接合部の疲労試験方法および疲労試験結果
(1)アイリング理論から誘導されるS-N曲線
(2)マイナー則(線形損傷則)
(3)接着継手、スポット溶接-接着併用継手、リベット-接着併用継手の疲労試験結果
17.接着接合部のクリープ破壊強度およびクリープ試験方法
a.クリープ破壊強度,破壊時間-温度の関係式(ラーソン-ミラー式)
b.実験値からラーソン-ミラー式の決定方法
c.プラスチックのラーソン-ミラー線図例
d.継手のクリープ試験方法
18.接着トラブルの原因別分類と対策
(1)原因別分類とその対策
(2)各種トラブル事例の原因と対策(テキスト内容を概説)
【質疑応答・名刺交換】