~痛みの概念や難しい客観的な評価法を基礎から理解し、効率的な新薬開発を目指す~
第1部:12:30~14:30
「痛みの基本概念と治療」
受講対象
・痛みにご興味をお持ちの方ならどなたでも結構です。
習得できる知識
・痛みの基本概念、評価方法、および治療法などについての知識を習得することができます。
趣旨
痛みは主観的で、客観的には評価ができないものであり、その上多面性を持つものです。痛みの多面性とは、1)身体における痛みの部位、強度、持続性などを識別した痛み感覚の面、2)過去に経験した痛みの記憶、注意、予測などに関連して身体にとっての痛みの意義を分析する認知の面、3)「痛み」を不快や不安、恐怖などに感じる情動や感情の面などです。痛みは、生体内の組織損傷に伴い発症し損傷の修復期間内に治癒する「急性痛」と、治癒すると予想される期間を超えて長期間持続する疼痛や疾患の進行に伴う疼痛、または長期間改善しない身体的障害に関連する疼痛である「慢性痛」に分類されます。痛みを理解する上で非常に大切なことは、「急性痛」と「慢性痛」という異なる痛みの存在を知ることであり、さらに、これら2つの痛みは病態が大きく異なるため、捉え方や対処法は変えていかなければならなりません。
本セミナーでは、痛みの基本概念と治療法について解説します。
【プログラム】
1.はじめに
痛み(=疼痛)について知っておくべきポイント
2.痛みの総論
2-1 国際疼痛学会の痛みの定義
2-2 痛みの多面性
2-3 痛みの経過による分類
2-4 国際疼痛学会の慢性疼痛の定義
2-5 急性疼痛と慢性疼痛の違い
2-6 痛みの治療法の原則
2-7 痛みの分類
2-8 疼痛の定義・区別
3.腰痛
3-1 腰痛の疫学
3-2 腰痛患者に対する初期診察のポイント
3-3 腰痛の原因
3-3-1 特異的腰痛と非特異的腰痛
3-3-2 腰痛に関するred flags
3-3-3 特異的腰痛の病態と治療
3-3-4 非特異的腰痛の特徴
4.慢性疼痛の分類
4-1 国際疼痛学会の慢性疼痛分類(ICD-11J)
4-2 機序に基づく慢性疼痛の分類
4-3 慢性疼痛患者の痛み以外の症状・徴候
4-4 Fear avoidance model
4-4-1 痛みの破局化
4-4-2 運動恐怖
5.痛みの生物心理社会モデル
5-1 生物心理社会モデル
5-2 慢性疼痛の診療における生物心理社会モデルの重要性
6.痛みに対する評価
6-1 痛みの強度の評価
6-1-1 視覚的アナログ尺度 (VAS: Visual Analogue Scale)
6-1-2 数値的痛み評価尺度 (NRS: Numerical Rating Scale)
6-1-3 表情尺度スケール (FRS: Face Rating Scale)
6-1-4 簡易痛みの質問票 (BPI: Brief Pain Inventory)
6-2 痛みの心理社会的因子の評価
6-2-1 破局的思考尺度(反芻、拡大視および無力感)(PCS: Pain Catastrophizing Scale)
6-2-2 疼痛生活障害評価尺度 (PDAS: Pain Disability Assessment Scale)
6-2-3 身体的疾患を有する患者の精神症状(抑うつと不安)の評価のための質問票
(HADS: Hospital Anxiety and Depression Scale)
6-2-4 痛み自己効力感質問票 (PSEQ: Pain Self-Efficacy Questionnaire)
6-2-5 整形外科患者における精神医学的問題を知るための簡易質問票
(BS-POP: Brief Scale for Psychiatric problems in Orthopaedic Patients)
6-2-6 ミネソタ多面人格目録
(MMPI: Minnesota Multiphasic Personality Inventory)
6-2-7 West Haven-Yale多面的痛み調査票 (MPI: Multidimensional Pain Inventory)
第2部:14:40~16:30
「脊髄、末梢神経障害にともなう、疼痛治療における臨床試験に求める薬剤」
受講対象
・薬剤研究にたずさわって2~3年の若手研究者や今後の研究の展望に迷いのある方。
習得できる知識
本セミナーにより最新のしびれ、疼痛に関する知見を得ることができる
今後、臨床現場で何が必要とされているかを知ることができる。本セミナーにより最新のしびれ、疼痛に関する知見を得ることができる
今後、臨床現場で何が必要とされているかを知ることができる。
趣旨
しびれや痛みの研究を行う際に、まず必要なのは具体的で役にたつ情報です。歩けない、痛い患者さんの状態を知り、何をするべきかを考えることが大切です。そのために、本講義では、なるべく臨床での具体例を述べたいと思います。画像が多く、新薬、手術など最新の情報も多く盛り込んでいることが特徴です。①しびれと痛みの生理的メカニズム、慢性化機序を理解する。②代表的な疾患について、解剖生理から学ぶ。③しびれに対する、臨床現場での薬剤および外科的治療の実際を知る。ということをポイントにて述べたいと思います。
【プログラム】
1)はじめに
2)脊髄、末梢神経の解剖生理
3)しびれ、疼痛の神経生理
4)代表的疾患の説明
(椎間板ヘルニア、狭窄症、胸郭出口症候群、手根管症候群、肩こりなど)
5)保存療法(現場でよく使用されている薬剤、エコー、ブロック、もやもや血管治療)
6)手術療法(ビデオなど含めて)
7)未来への展望