2015年03月09日(月)
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・導電フィラー分散高分子複合材料
・PTC(Positive Temperature Coefficient)特性-温度に対する抵抗率変化-
・PTC特性から見た高分子とフィラーのインターラクション
ポリマーに金属粉末,カーボンブラック(CB),カーボンナノチューブ(CNT)などの導電フィラーを充填し作製した導電フィラー分散高分子複合材料は,フィラーが複合材料中でネットワーク状に連なり導電パスを形成するため,特異な電気特性を示す.特に結晶性ポリマーからなる導電性複合材料は,温度上昇とともに電気抵抗率が増加する正の抵抗温度係数(PTC: Positive Temperature Coefficient)特性を示す.PTC特性を示す材料はその特性から永久ヒューズ,温度センサー,ヒーターなどに応用可能である.導電性複合材料を永久ヒューズに応用する場合,室温抵抗率が低くかつ高温抵抗率が高く,抵抗率の増加が温度に対して急峻である必要がある.この目的に応じた導電性複合材料を作製するためには,PTC特性の発現メカニズムの解明が重要である.
本講演では,フィラーはそもそも高分子のどこに入っているのか,室温時の抵抗を低下させ,一方,高温時の抵抗を上げるというトレードオフの関係を達成するためには、PTC特性の発現はどのような機構で起こるのか,高分子とフィラーのインターラクションについて,懇切に紹介したい.
1.導電フィラー分散高分子材料とは?
1-1.PTC(PTC: Positive Temperature Coefficient)特性とは
1-2.複合材料の導電性発現機構
1-3.高分子の種類とPTC特性との関係
1-4.フィラーがCBの場合のPTC特性-最適なCBは-
1-5.フィラーが金属の場合のPTC特性-最適な金属は-
2.ポリマーの結晶化度とフィラー分散高分子のPTC特性との関係
2-1.ポリマーの結晶化度の評価法
2-2.ポリマーの結晶化度とフィラー分散高分子のPTC特性
2-3.フィラー充填量とポリマーの結晶化度
2-4.フィラー充填量とフィラー分散高分子のPTC特性
3.フィラー分散高分子の溶融後の冷却速度の導電性への影響
3-1.溶融後の冷却速度とポリマーの結晶化度
3-2.ポリマーの結晶化度と室温抵抗率
3-3.ポリマーの結晶化度とPTC特性
4.結晶性高分子/Ni複合材料のPTC特性
4-1.Ni充填率と複合材料の室温抵抗率
4-2.Ni充填率と複合材料のPTC特性
4-3. 高分子とフィラーのインターラクション
4-4.FITモデル
5.ポリマーの分子量と複合材料の導電性
5-1.HDPEの分子量と複合材料の導電性
5-2.PMMAの分子量と複合材料の導電性
6.非晶性ポリマーと複合材料のPTC特性
6-1.非晶性ポリマーにおけるフィラーの分散性(SEM写真)
6-2.非晶性ポリマーにおけるPTC特性
7.複合材料のPTC特性の定量的解析
7-1.パーコーレーション理論における閾値の定義
7-2.ポリマーの体積膨張及び結晶化度を考慮したPTC特性
7-3.絶縁領域の抵抗率になる温度での複合材料の見かけのフィラー充填率