2014年09月29日(月)
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米国を震源地とするシェール・ガス革命は、この2年間において世界のエネルギー情勢を大きく変貌させ、北米全体の天然ガス生産量は2014年も増加基調にある。2013年に北米地域の天然ガスは、供給が需要を上回る状況となった。米国におけるシェール・ガスをはじめとした非在来型天然ガスの生産増と、天然ガス価格の下落によって、米国、カナダにおいて相次いでLNG輸出プロジェクトが計画されている。
米国における天然ガス価格は2014年春以降に百万Btu当たり3ドル~4ドル台で推移している。米国への天然ガス輸出が急速に減少するカナダと、米国国内の天然ガス販売だけでは大きな利益を挙げられない状況にある米国石油企業は、シェール・ガスを原料としたLNG輸出プロジェクトを積極的に進めている。カナダはLNGの輸出許可を出し、米国エネルギー省も既に4件ものLNGの輸出許可を出している。さらに、欧州諸国への天然ガス販売が減少し、価格引き下げを求められるロシアも、サハリン2の拡張、ウラジオストックLNGをはじめとしてアジア大洋州へのLNG輸出計画を進めている。
こうした米国、カナダ、ロシア、豪州をはじめとした数多くのLNG輸出プロジェクトによって、世界はLNGバブルの活況を呈している。2014年2月には百万Btu当たり20.5ドルという史上最高値のLNGを購入している日本にとって、安価な天然ガス調達ソースの多様化につながるとともに、既存のLNG契約における価格引き下げ交渉の材料ともなる。既に、総合商社、石油企業、プラント・メーカー、重電メーカーは、米国、カナダのシェール・ガス権益の取得を進めるとともに、LNGプラントの権益を取得している。他方、建設費の膨張によるパナマ運河拡張工事の延期、相次ぐLNGプロジェクトの立ち上がりによる2017年以降の供給過剰の可能性、欧州諸国における天然ガス消費量の低迷によるLNGスポット価格の下落、豪州における人件費の高騰等によるプロジェクト・コストの膨張によって、ロイヤル・ダッチ・シェル等は、LNGプロジェクトの一部先送りを行っている。日本企業はLNGプラント、LNG専用船の建設・運転・保守に関連する世界最先端の技術を持ち、これまであまり進出していなかった米国、カナダにおける1兆円に達するLNGプロジェクトへの参画が進んでいる。
今後のLNGプロジェクトに関連する日本企業にとっての巨大なビジネス・チャンスとリスク、経済性について、シェール・ガスとLNG分野の第一人者が明確に解説する。
①北米のシェール・ガスをはじめとした非在来型天然ガス開発の最新動向
②北米における天然ガス市場の需給動向の現状と2014年秋以降の動き
③国際市場における天然ガス価格の2020年に向けての見通し
④アジア大洋州における天然ガス火力発電の位置づけとLNG市場の最新動向
⑤米国における天然ガス生産量の動向と今後の動き
⑥カナダにおける天然ガス生産量の動向と今後の動き
⑦ロシアにおける天然ガス生産量の動向と今後の動き
⑧世界の非在来型天然ガス資源の可能性と今後の資源量の見通し
⑨北米・中南米における非在来型天然ガス資源の可能性-資源ナショナリズム
⑩北米におけるシェール・ガス開発ビジネスの優位性
⑪欧米メジャーのシェール・ガス開発とLNGプロジェクトの最新動向
⑫アジア大洋州と北米におけるLNG市場の今後とプラント、LNG専用船
⑬米国、カナダにおけるLNG輸出プロジェクトの動向と経済性
⑭北米におけるLNG輸出許可の今後の可能性-パナマ運河拡張工事
⑮ロシアにおけるLNGプロジェクトの動向と今後の経済性-中国との合意
⑯豪州におけるLNGプロジェクトの現状と経済性-プロジェクトの経済性
⑰北米におけるシェール・ガス開発への日本企業のビジネス・チャンス
⑱日本企業にとってのシェール・ガス開発の現状と環境破壊の留意点
⑲LNGプラント、水処理技術、化学物質等の日本企業のビジネス・チャンス
⑳LNG価格の今後の見通し-今後のLNGプロジェクトのリスクと事業機会
□ 質疑応答 □