安全・快適な運転を支える自動車用シートを実現するために!
第1部【10:30~12:30】
「人体構造・人体特性配慮の自動車用シートづくりを見直す
~座りの科学とトータルデザイン+作り手と使い手とのギャップ~」
高齢ドライバーによる交通事故発生が問われる中で、この原因は、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み違いによるものと言われている。果たしてそうなのか。現在はオートマ車の運転は当たり前であるが、従前は、クラッチを踏みながらギアを入れ変えて走行するマニュアル車であった。その結果、利便性を理由にオートマ車が普及し、左足を必要としない運転に変わった。このことが、運転時の身体バランス能力に負の影響を与えていることに気がつく人はいない。私は、オートマ運転の普及は、運転時の身体の左右バランス感覚を低減させるのではないかと心配してきた。人間の身体は上肢、下肢、目、耳などは左右一対の機能を備えていると考えられるため、身体の正中線と対としての機能に重要な意味があることを忘れてはならない。
これらを背景としてシートの在り方について原点に戻って見直すことが必要ではないかと真剣に考えている。一方で、AI自動運転に多くの関心と期待がもたれている。
近年、日常生活での着座姿勢は、人間の寿命を短くするという研究結果が発表され、座り作業の姿勢が悪もの扱いされている。人体の骨格、重心、姿勢などの観点からみると、座姿勢は身体に無理を強いる姿勢であることを繰り返し説いてきた。残念ながら、いす・シートづくりの世界にはその声が届いてこなかった。実に残念なことである。
本セミナーでは、座り姿勢として「シート作りとシート使い」を原点に戻って直視し、シート設計の在り方を「シートづくりの基礎」として論じる。
<講師より>
真のシートづくりには、座りの基礎学を身につけ、身体で覚えて身体で評価 視覚遮断による評価、経験を経験値として表示できること、などが欠かせません。
<プログラム>
1.「座姿勢否定論」の真意と立ち姿勢のすすめ
・通勤電車で空き席を探しますか?
2.いす・シートづくりの現状をどう評価するか
・満足のいくシートづくりができていますか?
3.あってならない「知らないで」シートづくり
・座りについて科学的に説明できますか?
4.シートづくりに「人間工学」は有効か
・人間工学はシートづくりに役立つ学問でしょうか?
5.「姿勢の違い」と身体負担
・身体に負担の少ない姿勢はどんな姿勢?
6.座姿勢が身体に及ぼす負の影響
・日常生活から座姿勢はなくせますか?
7.椅子のプロトタイプに「寝姿勢」を含める意味
・座り姿勢と寝姿勢に共通することはありますか?
8.シート評価に「体圧分布」はベストな方法か
・体圧分布で座り心地の評価は可能でしょうか?
9.クッション材の構成に不可欠な「三層構造」
・三層構造を正しく説明できますか?
10.運転姿勢に影響するシート条件と人的条件
・シート設計において、ドライバーに配慮すべき条件に何がありますか?
11.シートづくりの原理原則と具備すべき条件は
・シートづくりにどこまで配慮できますか?
12.これからどうする、「明日に向けて、次世代に向けて」のシートづくり
・真のシートづくり、次世代のシートづくりに何を加えるべきでしょうか?
13.作る側にも使う側にも「座育」のすすめ
・シートづくりの教科書は見つけられますか?
□質疑応答・名刺交換□
第3部【15:00~16:30】
「自動車用シートにおける着座時の疲労評価と疲労低減手法」
自動車を長時間運転するとドライバは疲労し、疲労蓄積は事故の原因となる。ドライバの運転疲労を低減することは、安全な運転を実現する上で重要な課題の一つである。ドライバの運転疲労を評価する手法について紹介すると共に、シートに取り付けた機械機構を用いることによるドライバの疲労低減手法についての研究内容を紹介する。
<プログラム>
1.序論
2.ドライバの疲労評価
2.1 指尖容積脈波に基づく疲労評価について
2.2 血中乳酸値に基づく疲労評価について
2.3 主観評価について
3.ドライバの疲労低減手法
3.1 ランバーサポートによる疲労低減について
3.2 エアセルサポートによる疲労低減について
3.3 複数点サポートによる疲労低減について
3.4 ドライバの運転姿勢と疲労状態について
4.まとめ
□質疑応答・名刺交換□