第1部 フィラー分散型ストレッチャブル配線の疲労メカニズムと実装技術
[10:00~11:30]
最近、エラストマバインダ中に金属フィラーを分散させた導電性ペーストを用いた印刷工法によりストレッチャブル電子回路を形成する技術を、ウェアラブルデバイス実装に応用するための研究が活発化してきた。ストレッチャブル印刷配線の特性評価法については未だ規格が存在しておらず、「○○%ひずみを加えた場合でも導電性が維持された(あるいは、電気抵抗率が○○cmであった)」などという曖昧な表現が横行しているのが実情で、実用上の問題が山積している。本講座では、ストレッチャブル印刷配線を学術的に考察するためのひとつの考え方を提示し、材料開発指針や信頼性評価手法の確立に向けた研究について紹介する。
1. ストレッチャブル配線の印刷技術
1.1 各種印刷技術による配線形成
1.2 ストレッチャブル配線・電極の応用事例
2. 機械的変形に伴うストレッチャブル印刷配線の電気伝導特性変化
2.1 ひずみの影響
2.2 時間依存性
3. ストレッチャブル印刷配線の特性解析のための基礎~エラストマ(ゴム)の材料科学~
3.1 粘弾性
3.2 フィラーネットワークの実態
3.3 ペイン効果とマリンス効果
3.4 ゴムの疲労
4. ストレッチャブル印刷配線の疲労挙動解析
4.1 繰返疲労
4.2 応力緩和試験
4.3 電気伝導特性の回復現象
5. ストレッチャブル配線の耐洗濯性試験
5.1 洗濯中の劣化要因
5.2 洗濯機処理中に引き起こされる疲労現象
6. ストレッチャブル印刷配線の疲労耐性を向上させるための材料設計
【質疑応答・名刺交換】
第2部 PEDOT/PSSの柔軟性・伸縮性の向上とそれを生かしたウェアラブルデバイスへの応用
[11:40~12:40]
PEDOT:PSS単体のみでは脆く、ウェアラブル用途で求められる柔軟性・伸縮性は持っておりません。弊社では配合によりPEDOT:PSSに機能付与した製品を長年にわたり開発しており、柔軟性・伸縮性についても大幅に改善することができております。本公演では様々なウェアラブルデバイスにて検討頂けるよう、PEDOT:PSSとその配合技術概要をご紹介させて頂きます。
1. PEDOT:PSSとは
1.1 化学構造と物性
1.2 帯電防止コーティング剤への応用
1.3 透明電極への応用
2. PEDOT:PSSへの機能性付与
2.1 生体適合性
2.2 柔軟性・伸縮性
2.3 耐久性
2.4 加工性
3. ウェアラブルデバイスへのご提案
3.1 ストレッチャブル電極
3.2 生体電流センサー
3.2 変位センサー
【質疑応答・名刺交換】
第3部 ストレッチャブルでロバストな単層カーボンナノチューブ、ゴム、ゲルのトランジスタ
[13:30~14:30]
単層カーボンナノチューブ、ゴム、ゲルという柔らかい炭素系材料だけのトランジスタを開発した。金属と半導体の両方の特性を示す単層カーボンナノチューブは、長尺の糸のように細長い構造をもつ物質であり、柔らかく曲げても壊れない。更に網目状に絡まり合うことで、伸縮性を示すため、単層カーボンナノチューブを電極やチャネルに用い、ゴムやゲルと組み合わせることで、曲げ、引張り、ねじりなどの負荷に対して、トランジスタの全ての部材が一体化して変形することができる。このため衣類につけて着用したときには、人体の形状に合わせて自在に変形でき、身体に与えるストレスが少ない。また圧力や衝撃に対する耐性に優れ、ハイヒールで踏むという厳しい負荷を加えても壊れない。今後はリハビリや介護向けのスマートテキスタイルなどへの応用が期待されている。
1. 単層カーボンナノチューブ(CNT)とは
1.1 電気特性: 半導体型CNTと金属型CNT
1.2 構造と機械特性: 直径数ナノメートルの一次元材料で柔らかく曲げても壊れない
2. 単層CNTのウェアラブルエレクトロニクス応用
2.1 ストレッチャブルなCNTセンサー・CNTトランジスタの開発動向
2.2 ストレッチャブルなCNTひずみセンサー
2.3 網目状CNTの高導電性ゴム複合材配線
3. 半導体プロセスに適用可能な単層CNTの成膜・微細加工技術開発
3.1 スケーラブルで低温プロセス可能なCNT分散液の塗布成膜技術
3.2 リソグラフィによるCNT・CNT複合材微細加工技術
3.3 成膜・微細加工技術の応用例:ウェハスケールのCNT集積化マイクロキャパシタ
4. ストレッチャブルでロバストなCNTトランジスタ開発
4.1 ロバストなCNTエレクトロニクスの開発動向
4.2 CNT、ゴム、ゲルのトランジスタの構造
4.3 柔らかい炭素系材料のみでのトランジスタ製造プロセス
4.4 CNTトランジスタの柔軟性とロバスト性
【質疑応答・名刺交換】
第4部 ウェアラブルデバイス向け伸縮材料
[14:40~15:40]
近年普及の兆しを見せているウエアラブルデバイスには、従来とは異なる新規な材料が必要となる可能性がある。今回は、フレキシブル、ストレッチャブルデバイスを対象に開発を進めている曲がる、伸びる、透明な材料について紹介する。
1. 背景
2. ウェアラブル関連デバイスの開発動向
2.1 市場・技術動向
2.2 各社における関連デバイスの開発例
3. ストレッチャブルデバイス向け伸縮材料の開発
3.1 材料コンセプト
3.2 開発材の特性
3.3 信頼性試験
4. 開発材の応用検討
4.1 開発材を用いたストレッチャブルデバイスの試作
4.2 試作デバイスの評価結果
5. まとめ
【質疑応答・名刺交換】
第5部 生体情報計測ウェアの構成技術と応用展開
[15:50~16:50]
NTTは、着るだけで生体情報の継続測定を可能にする機能素材hitoe ®を開発しました。hitoeを介して検出された心拍変動や心電波形は、小型専用装置によってスマートフォンやタブレットへ無線伝送され、アプリケーションで手軽に確認できます。こうした技術によって、スポーツ支援、安心安全、医療サポート、エンターテイメントなどの分野における新サービス創出が期待されます。当日は応用展開に向けた複数の取り組み例を紹介します。
1. NTTのウェアラブル技術による取り組み
2. 機能素材hitoeRの技術のポイント
2.1 導電性糸
2.2 生体適合性
3. 生体情報計測用ウェア
3.1 生体情報計測用ウェア作製技術
3.2 生体情報計測用ウェア設計技術
4. 生体情報計測用ウェアの応用
4.1 スポーツ分野
4.2 エンタテインメント分野
4.3 心電・加速度情報をもとにした2次特徴量
5. ウェアラブルの現状と今後の見通し
【質疑応答・名刺交換】