これから振動騒音や防音材開発に携わる設計、開発、研究部門の技術者へ、基礎から応用までわかりやすく解説します!
企業で従事した種々の機械騒音低減業務の経験をベースに、騒音伝搬経路に防音材料を使用する騒音低減手法を概説する。防音材料としては、吸音材料と遮音材料、制振材料を取りあげ、その基本原理から使用時の効果予測手法までを解説する。吸音材料の章では、速度比例の粘性減衰と速度2乗形の減衰の2種類の吸音機構の実例を示し、吸音率の予測手法と吸音材料を用いた音場の騒音低減効果予測手法を説明する。遮音材料の章では、質量則の適用範囲に制限があること、機械製品では材料寸法と音波の波長が同程度になる場合が多いことから、固有振動モードを考慮した音響放射特性を考慮する必要があること、さらに板振動と音響放射効率の関係について解説する。制振材料の章では、損失係数と振動低減効果の関係を説明し、制振材料の効果的な使用方法を解説する。
1 吸音と吸音材料
1-1 吸音メカニズム(基本は粘性減衰、次に速度2乗形の圧力損失)
1-2 吸音に関する指標(吸音率、音響インピーダンス、複素伝搬速度など)
1-3 吸音材中の波動方程式(90%以上が空気、吸音材の骨格は数%程度)
1-4 発泡吸音材の吸音特性(如何に表面積をふやして、粘性を稼ぐか)
1-5 多孔板の吸音理論(唯一理論解析できる形状。境界層の厚みが鍵)
1-6 吸音材の吸音率と使用例(車室や圧縮機配管内での実例)
2 遮音と遮音材料
2-1 板の振動と音の関係(板振動が音になり難い場合となり易い場合)
2-2 音圧による板の加振(音圧モードと板振動モードを分けて考える)
2-3 板の振動による音圧放射(放射効率はこう理解する)
2-4 板による遮音(機械屋が質量則を信じてはだめな理由)
3 制振と制振材料
3-1 減衰を表す指標
3-2 両端を単純支持された制振鋼板(この減衰特性を理解すれば、現象を見切れる)
3-3 成形体の周波数応答予測(ラフな見積でそれなりの予測精度)
3-4 制振鋼板適用効果の試聴(やはり効果を事前に聞いてみたい)
【質疑応答・名刺交換】
快適空間あるいは快適環境に向けての取り組みがいろいろな分野で進められており、それらの中の重要な取り組みの一つとして、騒音や振動の少ない生活環境造りが積極的に行われるようになった。省エネルギーのニーズなどにより、騒音や振動の発生の少ない施設、製品作りが一層加速しているように思え、騒音・振動の低減の基本をしっかり理解し、総合的な取り組みが求められると思う。本セミナーにおいては、騒音・振動低減に適用される遮音材料、振動絶縁材料、吸音材料、制振材料などのメカニズム、上手な適用法について解説するとともに、実際の代表的なサンプルを簡単なデモなど交えて紹介させていただく。
1 騒音・振動の低減は総合的な取り組みが重要
1-1 空気伝搬音の低減
1) 遮音材料
2) 吸音材料
2 固体伝搬音の低減
1) 振動絶縁材料
2) 制振材料
3 まとめ
【質疑応答・名刺交換】
自動車のEV/HEV化によりエンジン騒音が少なくなり、ユーザーの車内静粛性に対する要望は高まっている。特に、ガソリンエンジン車に比べ、タイヤからのパターンノイズ(空気伝搬音)や高速走行時の風切り音等の高周波車内騒音は目立ってしまい、低減が必要不可欠である。また、国連の走行騒音規制の導入に伴い、車外騒音の低減が急務である。タイヤのパターンノイズ等の低減が必須であるが、タイヤまわりの防音材による吸音対策も重要である。記を踏まえ、高周波(200Hz~5000Hz)の騒音を低減可能な防音材の予測技術と対策手段・解析結果について解説する。
1 多孔質吸音材の計算モデルについて
1-1 吸音とは、遮音とは
1-2 流れ抵抗を用いた実験式によるモデル
1-3 細い円筒管によるモデル
1-4 空気伝搬音モデル、Biotモデル
2 吸音率・透過損失の予測計算手法について
2-1 従来の計算手法について
2-2 流れ抵抗の実験式の導入
2-3 熱的特性長、粘性特性長の実験式の導入
2-4 計算結果と実験結果の比較、計算結果の紹介
3 積層タイプの防音材の吸音率・透過損失の予測計算手法について
3-1 伝達マトリックス法について
3-2 複数積層された防音材の計算結果と実験結果の比較、計算結果の紹介
【質疑応答・名刺交換】