激変する次世代の抗体医薬の市場について、物質、用途、製剤、製法、要素技術等様々な角度から解説!!
安定かつ安全性の高い抗体修飾医薬品を創出するための修飾技術とは??
※本セミナーはZOOMを使ったLIVE配信セミナーです。会場での参加はございません。
【アーカイブ配信受講:6/20~6/26】の視聴を希望される方は、⇒こちらからお申し込み下さい。
《趣旨》
ADCは、ターゲットへの結合にかかわるモノクローナル抗体と、細胞障害性物質(抗がん剤)を、リンカーによって結合して複合体化したものである。また、複数の抗体をうまく組み合わせてバイスペシフィック抗体(または3種類、4種類の組み合わせからなるマルチスペシフィック抗体)の開発も本格化してきた。そのため、ADCやマルチスペシフィック抗体をはじめとする次世代の抗体医薬の特許ポートフォリオを分析するには、モノクローナル抗体の特許ポートフォリオ、細胞障害性物質(抗がん剤)の特許ポートフォリオ、そしてリンカーの特許ポートフォリオの3つの観点での分析が必要である。
つまり、ADCやマルチスペシフィック抗体をはじめとする次世代の抗体医薬の知財戦略においては、従来の低分子医薬のような物質特許+用途特許を中心としたシンプルな知財戦略では、最近の抗体医薬のパイプラインを効果的に保護することは難しくなってきている。今では、ADCやマルチスペシフィック抗体をはじめとする次世代の抗体医薬のパイプラインを、物質特許、用途特許、製剤特許、製法特許、用法用量特許などにくわえて、抗体医薬の薬効を高めるための要素技術の特許なども加えた、数十もの特許ポートフォリオで保護する時代になってきている。
もっとも、この状況は、創薬系スタートアップについては、有利な状況になりつつあるといえる。なぜなら、創薬系スタートアップとしては、数十もの特許ポートフォリオが絡むADCやマルチスペシフィック抗体をはじめとする抗体医薬のパイプラインの中に、自社のリサーチツールから生まれたプラットフォーム技術の特許を一つでも絡ませることができれば、メガファーマへのライセンスアウトの交渉が可能になるからである。うまくいけば、創薬系スタートアップとしては、一つのプラットフォーム技術の特許を横展開して、多くのADCやマルチスペシフィック抗体をはじめとする抗体医薬のパイプラインに対してライセンスアウトをすることも可能な状況となりつつあり、極めて強力な追い風が吹いていると言えよう。また、創薬系スタートアップとしては、既存のいくつかの基本特許が切れた抗体医薬を組み合わせて自由自在に新しいマルチスペシフィック抗体を作って物質特許を取得することもできるために、新しく有望なパイプラインを構築することも容易になっている。このように、激変する次世代の抗体医薬の知財戦略のあり方についてお話したい。
本講演を行う奥野弁理士は、日本国内において米SystImmune社のマルチスペシフィック抗体の特許ポートフォリオ構築の代理人をつとめており、マルチスペシフィック抗体の知財戦略に精通している。そのため、奥野弁理士としては、本講演において、守秘義務に反しない範囲で、あくまでも一般論の形でマルチスペシフィック抗体の知財戦略についてお話をしたいと考えている。また、本講演を行う奥野弁理士は、長崎大学FFGアントレプレナーシップセンター(NFEC) 客員教授としての立場で、長崎大学の田中義正先生と一緒に、株式会社SCMバイオメディカを共同創業させていただき株主 兼 顧問(知的財産戦略)として起業を支援している。この長崎大学の田中義正先生は、京都大学でノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑先生と一緒に、年間売上1兆円超のオプジーボ(免疫チェックポイント阻害剤)という革新的な医薬品を開発された先生であり、さらに革新的ながん免疫療法の実用化に向けて、田中義正先生の次世代抗体医薬の研究開発の社会実装を手伝っている。そのため、奥野弁理士としては、本講演において、守秘義務に反しない範囲で、あくまでも一般論の形で免疫チェックポイント阻害剤と他の抗体などを組み合わせた形のマルチスペシフィック抗体の知財戦略についてもお話をしたいと考えている。
【プログラム】
0.バイオ・製薬企業の知財戦略
0-1.抗体医薬市場の現状分析
・ついに歴史的な和解!小野薬品工業・BMS VS アストラゼネカ社
・免疫チェックポイント阻害薬を巡る特許訴訟
・アクテムラのバイオシミラーについての特許訴訟がアメリカで勃発
・20件もの特許で侵害訴訟を提起
・大型化+クラスター化する抗体医薬の特許ポートフォリオ
・BMS社が、スタートアップのバイスペシフィック抗体を巨額ライセンスで導入
・既存抗体を組み合わせて自由自在にマルチスペシフィック抗体を作る
・免疫チェックポイント阻害剤と他の抗体との組み合わせも可能
・抗体医薬に関する最近の注目判例
・ジェネンテック
・ジェネンテックの知財戦略
・ライセンス戦略(共存共栄)
・IDECとのリツキサン共同開発成功事例(同業他社への支援の成功)
・ヒト化・フラグメント化・修飾などによる改良特許戦略
・抗体断片化によるルセンティスの成功
・日本の中外製薬のグループ化に成功
・ADCである「Kadcyla」の特許ポートフォリオの分析
・ロッシュ=ジェネンテック=中外製薬グループのADC分野の知財戦略
・協和発酵キリン
・協和発酵キリンの知財戦略
・クラスター戦略(一点集中強行突破)
・瓢箪から駒のポテリジェント技術を目利力によりクラスター展開
・個別疾患ターゲットに限定したライセンスポリシーによる収益最大化
・垂直統合戦略(コア技術の川下展開)+水平分業戦略のハイブリッド戦略
・自社開発による付加価値の内部取込+世界標準化による収益最大化
・オランダのシナフィックス社と提携してADCの開発に乗り出す
・協和発酵キリンのADC分野の知財戦略
・第一三共
・第一三共の知財戦略
・第二世代の抗体医薬で花ひらいたADCの研究開発
・抗体+リンカー+薬剤の組合せ
・従来の低分子医薬や、第一世代の抗体医薬に比べて圧倒的に複雑な構成
・知財戦略もそれにあわせて複雑化
・ハイブリッド型知財戦略
・リンカーの要素技術の特許ポートフォリオが命運を分ける
・他の化学+材料+機械+電機などの技術分野の知財戦略に近づく
・ADCである「Enhertu」の特許ポートフォリオの分析
・第一三共のADC分野の知財戦略
・Baili Biopharma(Baiokin Pharmaceutical、SystImmune)
・上海証券取引所の科創板に時価総額5,000億円を超えてユニコーン上場
・BMS社が、SystImmuneのバイスペシフィック抗体を導入
・SystImmuneのバイスペシフィック抗体の乳癌Ph2/3試験が今夏に始まる
・一時金1135億円(最大で約1.2兆円)の巨額ライセンス契約
・アメリカ子会社で研究開発
・マルチスペシフィック抗体
・免疫チェックポイント阻害抗体のバイスペシフィック抗体
・欧米のメガファーマとアライアンス
・第二世代の抗体医薬の中国におけるスター企業
・従来型のパイプライン型知財戦略
・マルチスペシフィック抗体の構成が複雑化
・そのため従来型とはいえ知財戦略も複雑化
・SystImmuneもADCの開発に乗り出す
・SystImmuneのパイプラインに含まれるバイスペシフィックADC
・SystImmuneのADC分野の知財戦略
1.抗体医薬品特許の強い特許明細書・クレームの書き方
1-1.強い特許明細書・クレームとは何か?
1-2.実施可能要件を満たす明細書の書き方
1-3.新規性・進歩性を満たすクレームの書き方
1-4.ユニバーサル・ドラフティングという考え方
2.クレームの書き方の演習
2-1.架空実験データを素材とする出題
2-2.クレームの講評
【質疑応答】
《趣旨》
抗体修飾化合物の開発における課題の一つとして、抗体上の修飾位置と搭載数の制御が挙げられます。
AJICAP®技術は修飾位置の制御と薬剤搭載数の制御が可能な修飾技術で、より安定かつ安全性の高い抗体修飾医薬品を創出する事を可能にします。
講演では、既存のADC合成技術における課題と、それら課題のAJICAP®技術による解決、及びこれまでに実現が困難なフォーマットの創出の可能性について紹介させていただきます。
【プログラム】
1.ADCの調整方法のご紹介
2.AJICAP®技術の概要紹介
3.AJICAP®修飾技術の紹介
4.AJICAP®リンカー技術の紹介
5.既存技術とAJICAP®技術により創出したADCの評価結果比較