第1部 化学蓄熱技術の現状と高性能化学蓄熱材の開発
蓄熱技術の将来展望を解説する。とくに次世代技術と期待される化学蓄熱の現状を基礎及び開発事例から解説する。エンジン等から排出される200~400℃域の中温熱の回収・有効利用向けの、中温排熱利活用ための化学蓄熱が注目されている。これに対応が可能な酸化マグネシウム/水系化学蓄熱技術を中心にその原理、応用事例を示す。さらに、新たな材料開発事例など化学蓄熱関連の発展可能性を解説する。
1.蓄熱概論
1.1 省エネルギーと熱利用の必要性
1.2 蓄熱技術の社会貢献性
2.化学蓄熱の基礎
2.1 化学蓄熱の基礎
2.2 化学蓄熱導入のための技術ポイント
2.3 化学蓄熱の分類
3.酸化マグネシウム/水系化学蓄熱の開発
3.1 化学蓄熱装置構成
3.2 化学蓄熱装置の原理と応用
3.3 化学蓄熱装置の研究開発事例
3.4 化学蓄熱装置の実用化
4.化学蓄熱の高性能化学蓄熱材の開発
4.1 新しい化学蓄熱材料の検索
4.2 新しい化学蓄熱材料の開発事例
5.まとめ:開発の要点、将来展望
□ 質疑応答 □
第2部 高温用潜熱蓄熱材料の最新開発動向
古くて新しい技術、潜熱蓄熱法がエネルギー有効利用のために注目され、進化を遂げている。エクセルギーの概念に基づくと、高温ほど仕事をする高いポテンシャルを有しているが、これまでの相変化物質(PCM)は100℃以下であり、より高温のPCMを開発するためには、耐腐食性、高熱伝導性を有するPCMを開発する必要がある。そこで本講演では、最新開発動向として、1)合金を使った高温用PCMマイクロカプセル化技術、2)太陽熱利用への可能性、3)製鉄所から化学プラントへの熱輸送コンテナ構想を紹介する。
1.高温用PCMマイクロカプセル化(MEPCM)技術
1.1 諸言
(MEPCMの利点、高温用PCMの問題点、MEPCMの先端的概念)
1.2 実験
(合金材料、手順、評価法)
1.3 結果および考察
(モルフォロジーと熱物性、カプセル化のメカニズム)
1.4 結言
(まとめとMEPCMの期待される将来技術)
2.太陽熱利用への可能性
2.1 諸言
(潜熱蓄熱(LHS)とは、熱交換器の種類)
2.2 高温用LHSの最近の進展
(レビュー、糖類とその応用(潜熱輸送)、溶融塩とその応用(集熱型太陽発電))
2.3 エクセルギーの観点からの潜熱蓄熱の将来
(未来型LHSのための高品質PCM開発、エクセルギー再生のための先端的PCMの設計、期待されるLHSの挑戦)
3.製鉄所から化学プラントへの熱輸送コンテナ構想の可能性
3.1 諸言
(製鉄業の排熱状況、LHSの原理)
3.2 排熱輸送の概念とその利点
3.3 実験
(排熱輸送のためのPCM(熱物性と化学的安定性)とコンテナ)
3.4 結果および考察
(融点と潜熱量、コスト、DSC、潜熱量の経時変化、システム解析(投入エネルギー、エクセルギー損失、CO2排出量)
□ 質疑応答 □
第3部 TBAB水和物スラリの特性と蓄熱システムへの展開
冷房空調に最適な相変化温度を持つ蓄熱材の一つとして、TBAB水和物が注目されている。TBAB水和物は、生成条件によっては、微細な水和物結晶とTBAB水溶液の混合状態であるスラリーを形成し、スラリーとなることで、高い搬送性と熱交換性能を有することとなる。本セミナーでは、TBAB水和物の特性の他、水和物スラリーの流動、熱伝達特性などについて概説する。
1.水和物系蓄熱材の特徴
2.TBABの特徴
3.TBAB水和物の特徴
3.1 TBAB水和物の相図
3.2 TBAB水和物スラリー
4.TBAB水和物の熱物性
4.1 TBAB水和物の融解潜熱
4.2 TBAB水和物のその他の物性値
5.TBAB水和物スラリーの流動特性
5.1 TBAB水和物スラリーの流動性
5.2 非ニュートン性による特性把握
6.TBAB水和物スラリーの熱伝達特性
6.1 TBAB水和物スラリーの伝熱性能
6.2 層流・乱流における伝熱予測
7.まとめ
□ 質疑応答 □