■第1部:野菜の鮮度と品質保持(1.5h)
Ⅰ.野菜の種類と品質
1.野菜の種類と特徴
2.野菜の品質評価
Ⅱ.野菜の収穫後生理
1.呼吸
2.成熟
3.老化
Ⅲ.環境因子と品質変化
1.温度
2.湿度
3.ガス組成
4.振動衝撃
5.微生物
Ⅳ.鮮度・品質維持のための技術
講演概要:野菜は、一年生植物(一部に二年生や多年生がある)の植物体の一部(または全体)から得られる農産食品である。
収穫後も生命活動(能動的な活動)を維持している点で、他の食品とは大きく異なる。
本講演では、野菜の品質、収穫後の生理作用、環境因子と品質変化との関係、更には、鮮度と品質を維持するための技術について解説する。
■第2部:野菜の加工前処理技術(1.5h)
Ⅰ.野菜のブランチング
1.熱湯浸漬法における栄養成分の流失
2.マイクロ波と熱湯の併用ブランチング
① 熱湯浸漬、マイクロ波、マイクロ波+熱湯浸漬の比較
② 上記3方法における成分変化の比較
Ⅱ.ブランチング処理の違いと乾燥試料の品質
1.乾燥の前処理としてのブランチング
2.乾燥速度に及ぼす影響
3.品質変化(糖度、L-アスコルビン酸、色彩)に及ぼす影響
Ⅲ.青果物の乾燥
1.クッキングトマトの乾燥(熱風乾燥・マイクロ波乾燥・減圧マイクロ波乾燥)
2.コマツナの遠赤外線による消費電力の削減効果
3.乾燥における成分変化
講演概要:本講座では野菜加工における【ブランチング・乾燥】について解説をする。ブランチングについては、熱湯浸漬における栄養成分の溶出状況を説明し、マイクロ波を利用した方法について言及する。また、乾燥処理の前処理としてブランチングを実施した際の乾燥試料の品質に及ぼす影響について概説する。乾燥法(熱風乾燥、マイクロ波乾燥、遠赤外線乾燥など)では、各手法における乾燥時の乾燥特性や成分変化の違いについて、具体的な研究事例(クッキングトマト、コマツナ、キウイフルーツの)を基に比較検討する。
■第3部:野菜の調理(加熱・冷凍)におけるテクスチャー変化(1.5h)
Ⅰ.野菜のおいしさとテクスチャー
Ⅱ.野菜の加熱調理におけるテクスチャー変化
1.野菜の煮熟軟化とペクチン質の関係
2.野菜の煮熟軟化に及ぼす煮汁のpH、塩類の影響
3.野菜の硬化に及ぼす予加熱の影響
4.野菜の硬化に及ぼす乾燥の影響
Ⅲ.野菜の冷凍処理におけるテクスチャー変化
1.冷凍による野菜の物性、ペクチン組成、組織の変化
2.圧力移動凍結法によるテクスチャー制御
講演概要:野菜のおいしさを構成する要素として、特にテクスチャーは重要である。加熱野菜では細胞壁中のペクチン質の挙動が食感に大きく影響することが分かっており、冷凍野菜では凍結損傷による食感の悪化が問題となっている。本講座では、野菜の加熱処理による硬さへの影響要因とテクスチャー制御の仕方について解説する。更には、冷凍処理による物性、ペクチン組成、組織変化についての解説に加えて、圧力移動凍結で凍結損傷が改善できるかを考えてみたい。
■第4部:野菜の品質評価技術~おいしさ・食味・食感~(1.5h)
Ⅰ.野菜品質の理化学評価の現状
1.呈味成分に関する分析評価技術
① 糖度による評価と問題点
② キャピラリー電気泳動法など新しい分析法
③ 苦味・渋味成分
④調理に伴う成分変化
2.食感の評価の試み
① 測定例紹介(キュウリ、レタス、トマト)
② 音響振動法などの新しい評価技術
3.非破壊評価技術の現状
① 非破壊成分評価
② 生理傷害等の検出
Ⅱ.野菜の官能評価と問題点
1.官能評価結果と理化学的な評価結果の関係
① 野菜で行われた官能評価
② 官能評価結果を物理化学的に説明できたか?
2.野菜の官能評価を実施する上での問題点
① 試料準備の問題点
② パネル選択の問題点
③ 部位間差
講演概要:野菜の品質においては,外観や流通適性と共に,我々消費者にとっては特に栄養や機能性,おいしさも重要である。本講義では,野菜の品質やおいしさを客観的に評価する手法について解説をする。理化学的および官能的評価とその相関性,問題点にも言及する。更には野菜のおいしさの解明と消費の拡大に向けた取組みである「野菜のおいしさ検討部会」の検討内容も紹介する。