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◆◇◆ 第1部 ◆◇◆
リチウムイオン電池の基礎とそのリサイクル技術の動向
【趣旨】
スマートフォンからドローン,さらには家電まで,リチウムイオン電池はそれらの高性能電源として多く使用されています。大容量化されたリチウムイオン電池は,電気自動車の普及および再生可能エネルギーの導入に大きく貢献できることから,脱炭素を目指す現代社会では,その重要性が益々高まっています。日頃の業務でリチウムイオン電池に関わるケースが増えつつあります。しかし,その動作原理や使用材料についての知識,さらに蓄電池としての特徴や使用上の注意などを習得する機会は,非常に限られています。
本セミナーの前半では,蓄電池が必要とされる社会背景から蓄電池の種類と特徴,さらに電池化学の基礎を踏まえた上で,リチウムイオン電池の動作原理と材料に関する知識を深めていきます。セミナーの後半では,リチウムイオン電池の持続的な製造に将来必須となるリサイクル技術,さらに国内外の電池材料のリサイクル情勢について説明します。
【習得できる知識】
◎リチウムイオン電池を取り扱う上で知っておくべき動作原理や使用材料,他の蓄電池と比べた場合のリチウムイオン電池の特徴,持続的な電池製造に関係する原料資源の確保やリサイクル方法など,リチウムイオン電池の将来展開に関する知識。
◎リチウムイオン電池に関する知識を深めることで,製造および使用する製品の性能や信頼性向上,さらには低コスト化につながることが期待されます。
【受講対象】
◎電気自動車やハイブリッド自動車,ドローンや家電の開発,製造,販売など,業務の中でリチウムイオン電池を取り扱う方
◎リチウムイオン電池の製造や開発に関する現状と将来について興味のある方
【プログラム】
1.電池の基礎
1-1. 蓄電池が必要とされる理由
1-2. 一次電池と二次電池
1-3. 電気自動車と二次電池
1-4. 電池の構成要素
1-5. 起電力とその源
1-6. エネルギー密度,入出力密度,寿命
2.リチウムイオン電池の詳細
2-1. リチウムイオン電池の構成部品
2-2. 正極材
2-3. 負極材
2-4. 電解液
2-5. セル製造方法と充放電機構
2-6. 全固体電池
2-7. リチウムイオン電池の世界市場
3.リチウムイオン電池のリサイクル
3-1. 電極材料の将来需要
3-2. 使用済みリチウムイオン電池の排出量見込み
3-3. リチウムイオン電池の失活,分解,再生
3-4. リチウムイオン電池リサイクルの企業活動情勢
3-5. リチウムイオン電池の各種リサイクル方法とその特徴
3-6. リチウムイオン電池のリサイクルに関する将来展望
質疑応答
◆◇◆ 第2部 ◆◇◆
リチウムイオン電池の焼成粉末からのリチウム回収およびキレートイオン交換樹脂によるレアメタルの分離技術
【趣旨】
電気自動車の著しい普及に伴いリチウムイオン電池(LIB)の需要が急速に伸びている。主流の三元系LIBにはLi, Ni, Co, Mnのレアメタルが多量に使用されており、資源不足や価格高騰が懸念されているため資源確保が重要な課題となる。本講演では、使用済みLIBを焼成処理して得られる「ブラックサンド」について、資源分析を行なった。またリチウムを洗浄により回収し、キレートイオン交換樹脂により分離するプロセスを検討している。キレートイオン交換樹脂によるレアメタルを分離・回収する技術については、現時点では試薬を用いたモデル廃液による実験のみであるが、これまで得られた成果について紹介する。また、性能は劣るが、リチウム以外のレアメタルを使用しないリン酸鉄リチウム電池(LFP)が普及している。もし、十分なデータが得られていればLFPからのリチウム回収についても述べる。
【習得できる知識】
1. 企業から提供された使用済み車載用リチウムイオン電池の焼成粉末(ブラックサンド)の資源分析評価を知ることができる
2. ブラックサンドの水洗浄によりリチウムを回収する方法を知ることができる
3. キレートイオン交換樹脂によりNi、Co、Mnの分離する方法を知ることができる
【受講対象】
◎制約はありません
【プログラム】
1. 本研究の背景および目的
2. 使用済みリチウムイオン電池の資源評価
2.1 使用済みLIBの処理フロー
2.2 ブラックサンドの粒度分布
2.3 ブラックサンドの資源量
2.4 ブラックサンドのXRD分析
3. ブラックサンドからのリチウム回収
3.1 水攪拌によるリチウム溶出実験
3.2 リチウム溶出におけるアルミニウムの影響
3.3 リチウムの精製
3.4 ブラックサンドの酸による溶解
4. キレートイオン交換樹脂によるNiとCoの分離
4.1 カラムを用いる分離実験
4.2 キレートイオン交換樹脂の選定
4.3 クエン酸・アンモニウム塩によるNiとCoの分離
4.4 pHによる影響(分離機構)
4.5 分離性能の精密化(クエン酸量の影響)
4.6 最適条件でのNi、Coの分離性能
4.7 吸着容量
4.8 脱離試験
5. キレートイオン交換樹脂によるMnの分離
5.1 キレートイオン交換樹脂の選定
5.2 pHによる影響
5.3 カラム実験
(6. リン酸鉄リチウム電池からリチウムを回収する研究)
質疑応答
◆◇◆ 第3部 ◆◇◆
エマルションフローによるリチウムイオン電池(LIB)の水平リサイクル
【趣旨】
本セミナーの趣旨は、新しい溶媒抽出の方法“エマルションフロー法”を知っていただくとともに、エマルションフローをレアメタルのリサイクルや有害物質の回収・除去に適用した例を紹介すること。溶媒抽出は、他の湿式処理と比較して、目的成分に対する抽出・回収の容量が大きく、大量の水溶液(溶解液、浸出液など)をより迅速に処理して高度に分離できる点が特徴である。一方で、溶媒抽出は、処理後の排水に多量の油分が混入するため、環境を汚染する技術の代表のように言われている。それに対して、エマルションフローは、従来の溶媒抽出に対する「常識」をくつがえし、油汚染された水を浄化する技術として水処理分野で注目されている。また、従来装置として最も普及しているミキサーセトラーの4倍から10倍の処理能力を持つので、装置サイズを1/4から1/10に小型化できる。さらに、もともと濃縮装置として開発された経緯から従来装置では実現できない高濃縮を可能とし、加えて、高いフレキシビリティも特徴である。
【習得できる知識】
◎廃棄されたリチウムイオン電池(LIB)などからのレアメタルの水平リサイクル(廃LIBから回収された材料を使って、再度、LIBを製造)、PFAS(有機フッ素化合物)などの有害有機化合物の回収・除去などについて、知識を習得できる。
【受講対象】
◎金属リサイクル、金属製錬、電池メーカ、正極材メーカ、自動車OEM、フッ素系化学品メーカ、半導体メーカ、繊維メーカに所属する技術者の方。
【プログラム】
1.エマルションフローの紹介
原理、特徴、従来法との比較など
2.レアメタルリサイクルへの適用
リチウムイオン電池の水平リサイクル、レアアースの分離精製・リサイクル
3.環境ソリューション
PFAS(有機フッ素化合物)の回収・除去、油水分離
4.その他
質疑応答