2015年02月24日(火)
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発電用ガスタービン、あるいは航空用ガスタービン(ジェットエンジン)の最高運転温度はすでに1,500 ℃を超えている。それらの心臓部である燃焼器、静翼、動翼などに用いられる現用の最高の材料はニッケル、あるいはコバルトを主成分とする超耐熱合金(いわゆる超合金)であるが、それらが実用可能な温度は、最高級のニッケル基単結晶合金でも1,000 ℃をあまり超えることはできず、これらの合金を用いる限り、金属温度を1,000 ℃以下に保つための“冷却システム”の利用は不可欠となっている。もちろん、冷却を強化すれば、超合金の使用も引き続き可能ではあるが、数ポイントの熱効率低下は避けられない。一方、地球温暖化防止に対応して二酸化炭素排出量の減少が急務とされ、また化石燃料の枯渇、燃料コスト削減などの観点からは、高温機器の熱効率を一層改善することが求められているが、それには機器の運転温度を可能な限り高めることが必要である。超合金は、20世紀の後半以降、すばらしい発展を遂げてきたが、その開発はすでに限界が近いと言わざるを得ない。このような背景から、超合金に替わる新たな耐熱材料、つまり1,000 ℃以上の超高温領域で冷却せずに、あるいは冷却を最小限に抑制できる新しい材料の開発は急務である。そのような材料を「超高温材料」と呼び、金属系、セラミックス系、および複合材料などのいろいろな分野から研究開発が行われている。またそれらの素材の耐酸化・耐食性を一層高めるための表面被覆(コーティング)技術の進歩も著しい。
この講演では、上記のガスタービン発電や航空宇宙などへの応用分野を中心とする超高温材料へのニーズの現状、それらに対する各種材料の開発などの技術動向と強化手法の考え方などについて概説したい。
1.はじめに ― 超高温材料のニーズ分野の動向
2.超高温材料に求められる特性
3.超合金の発展の経過と、見えて来たその限界
4.超高温領域における高温強化の考え方
5.超高温材料として期待される材料の開発動向
(1) 金属間化合物
(2) 高融点金属の合金
(3) セラミックス
(4) 複合材料、とくにCMC(セラミック基複合材料)と
C/Cコンポジット(炭素繊維強化/炭素複合材料)
6.耐酸化・耐食性改善を目的とするコーティング技術の開発動向
7.超高温材料の研究開発上の課題
【質疑応答・名刺交換】