非会員:
55,000円
(本体価格:50,000円)
会員:
49,500円
(本体価格:45,000円)
学生:
55,000円
(本体価格:50,000円)
【第1部】女性における「かわいい」感性の分類とその特徴について 10:30~12:00
≪趣旨≫
「かわいい」は多くの女性にとって欠かすことのできない普遍的な言葉である.この言葉のメリットは,一言で評価し受け入れることができるところにあり,会話の中で共感し合い,気分を盛り上げることに貢献している.「好き」や「いいね」より適用範囲が広いことも使用頻度が増えた背景にあるのではないかと思われる.今では様々なシーンの会話に登場するようになり,何かを形容する言葉にとどまらず,個人の感情を含みながらコミュニケーションのための言葉としても機能している.それゆえ「かわいい」と一言で言っても,表現されている微妙なニュアンスは発言した個人により様々なものであると考えることができる.このように都合のよい,便利な言葉であるがゆえにその背後に潜む意味は曖昧なままに拡大している.そこで,本セミナーでは,女性が「かわいいと感じる色」や「共感できるかわいさ」のタイプ分類を試み,どのようなタイプがどのくらい存在するのか、そしてそれぞれの嗜好特性がどのようなものかについて、定量的な調査を基に分析した結果について解説する.
なお,「かわいいと感じる色」の分類に関しては,2014年の日本感性工学会論文誌に掲載された論文「かわいい色の調査結果に基づく評価者のクラスター分類とその嗜好特性」の内容を基に構成したものである.
《プログラム》
1.はじめに
2.「かわいいと感じる色」を切り口に「かわいい」を探る
2-1 概要
2-2 年代別にみたかわいいと感じる色
2-3 かわいいと感じる色のタイプ分類
2-4 かわいいと感じる色のタイプ別の特徴
3.「共感できるかわいさ」を切り口に「かわいい」を探る
3-1 概要
3-2 共感できるかわいさのタイプ分類
3-3 共感できるかわいさのタイプ別の特徴
4. 「かわいい」商品開発に向けて
【第2部】「かわいい」と感じる心理とモノづくりへの応用 12:45~16:00
≪趣旨≫
「かわいい」という言葉は,私たちの日常生活にあふれています。しかし,「かわいい」とは何か,「かわいい」と何がよいのかについての実証研究は多くありません。このセミナーでは,昨年出版した本の内容に基づき,現在,国内外で明らかになっている「かわいい」に関する科学的知見をまとめてご紹介します。「かわいい」という語の歴史,かわいいと感じる対象のカテゴリー,かわいいものに接することが人間に与える影響について説明するとともに,「かわいい」と感じるための要件や,「かわいい」をモノづくりやサービスに活かすヒントについてお話しします。また,質問を事前にお寄せいただければ,その場でお答えします。
《プログラム》
1.背景
1-1 「かわいい」は文化的・経済的な日本の顔
1-2 「かわいい」は一時の流行なのか?
1-3 「かわいい」に定義は必要か?
2. 「かわいい」という語の意味
2-1 「かわいい」のイメージ
2-2 「かわいい」 vs. 「カワイイ」
2-3 「かわいい」に対する態度と男女差
3.かわいさの原点: ベビースキーマ
3-1 幼さとかわいさの関係
3-2 いろいろな「かわいい」とその共通点
3-3 「かわいい」の定義
4.感情としての「かわいい」
4-1 「かわいい」はモノの属性ではない
4-2 「かわいい」感情のモデル
4-3 「かわいい」と感じるメカニズム
5.「かわいい」感情がもたらす効果
5-1 個人内で生じる効果
5-2 社会的関係に及ぼす効果
5-3 「かわいい」感情の強さとパーソナリティ
6.「かわいい」の二層モデル
6-1 生物学的基盤
6-2 文化的要因
6-3 日本の「かわいい」は輸出できるか?
7. 「かわいい」に導かれたモノづくり
7-1 「カワいいモノ」研究会の紹介
7-2 誰をターゲットにするか?
7-3 「社会とのつながり」を意識する
8.まとめ
8-1 「かわいい」研究のこれから