EVはガソリン車に比べて静粛性が優れていると言われているが、ガソリン車ではマスキングされていた騒音が、EVでは目立つようになってきた。ガソリン車の騒音要因は第一位エンジン音、第二位ロードノイズであるが、EVでは第一位ロードノイズ、第二位が低級ノイズ(ガタやキシミなど)となる。第三位はEV特有のモータ音等である。また年々厳しくなる車外音規制はEV化で有利になると思われていたが車外騒音の要因の一つにタイヤ騒音が有り、Phase3ではタイヤ騒音だけでも規制値をクリアできない見通しである。(車外騒音規制はPhase1~Phase3まで段階的に実施されPhase3は2024年からとなっている。)本講演ではこのような状況を説明し、これらに関した対策事例を紹介する。
1. 自動車の主な振動騒音現象
2. ハイブリッド車や電気自動車の振動騒音
3. エンジン車(ガソリン車)とEVの車内騒音比較
4. EV特有の振動騒音
5. 車外音規制強化の動き
5.1 Phase1~Phase3までの段階的実施
5.2 新加速騒音試験概要
5.3 タイヤ単体騒音とタイヤノイズメカニズム
6. ロードノイズ対策事例
6.1 ホイール振動特性
6.2 取付け部剛性Upによる改善例
6.3 車体パネルの積層制振防音構造
7. 間違い易い音響知識
7.1 音圧分布と粒子速度分布
7.2 遮音の注意点=コインシデンス効果
8. 間違い易い振動知識
8.1 波長と制振効果
8.2 質量付加と制振効果
8.3 パネル剛性アップと制振効果
カーボンニュートラルに向けて各国でCO2排出量の削減が求められており,自動車分野では永久磁石同期モータを駆動源として採用した電動車(電気自動車やハイブリッド自動車など)の普及が加速している。永久磁石同期モータは小型・高出力・高効率という特長を備える一方で,モータの電磁力に起因した振動・騒音が増大する課題がある。本セミナーでは,永久磁石同期モータを使用したモータ駆動システムによって発生する振動・騒音の発生メカニズムを紹介し,その低減手法をモータ・制御・機構に分けて紹介する。本セミナーの受講によって,電気系・機械系を含むシステム視点での振動・騒音低減手法を学ぶことを目標としている。
1. 自動車の電動化に伴う振動・騒音の課題
2. 一般的なモータにおける振動・騒音の発生メカニズム
3. 電磁力による振動・騒音とその種類
4. 電磁力による振動・騒音のその低減手法(モータ・制御・機構)
地球環境に対する社会要求が高まる中、自動車はEV化などによって、これまで顕在化してこなかった騒音にまでスポットが当たるようになり、部品メーカへの低騒音化要求はより厳しいものになっている。本講ではこの低騒音化要求に対するKYBの取組みについて低騒音化技術及び事例を交えて紹介する。
1. はじめに
自己紹介,この講座の概要と目的
2. 低騒音化技術
2.1 予防的アプローチと対策的アプローチ
2.2 騒音発生のメカニズム
2.3 KYBにおける騒音対策の流れ
3. 低騒音化事例(予防的アプローチ)
3.1 ポンプ内部圧力適正化による騒音低減
3.2 油路適正化によるキャビテーション音の抑制
4. 低騒音化事例(対策的アプローチ)
4.1 電動油圧ポンプモータの騒音低減
4.2 電動パワーステアリングの異音低減
5. 終わりに
今後の展望
近年、自然界に存在する均質一様な物質では実現できない音響的な性質を持つ音響メタマテリアルが注目されている。本講演では、音響メタマテリアルの基礎、これまでの先行研究事例の紹介、および当研究室で検討してきた音響透過損失を向上可能な音響メタマテリアルについて概説する。
1. 音響メタマテリアルの基礎
2. 研究事例および動向
3. 遮音性能向上を目的とした一重壁音響メタマテリアル
3.1 レゾネータを用いたユニットセル構造
3.2 理論モデルおよび数値解析モデル
3.3 実験検証
4. 遮音性能向上を目的とした二重壁音響メタマテリアル
4.1 レゾネータの底面を薄膜化したユニットセル構造
4.2 理論モデルおよび数値解析モデル
4.3 実験検証
車内空間の快適性を高め、運転パフォーマンスをも向上させるサウンドデザインの取り組みを自動車メーカ様や部品メーカ様と共に行っている。今回はそのうちアクティブノイズコントロールなどの音の制御技術およびその感性面からの評価ついて解説すると共に、関連する最近の取り組みについて紹介する。紹介予定の取り組みは自動車加速音を対象とした以下である。(1)吸音材による感性制御、(2)適応制御を用いた個人の好みへの快音化
1. いい音とは何か
2. 音と運転パフォーマンス
3. 能動騒音制御と受動騒音制御
4. 適応制御の基礎
5. 音の評価方法
・SD法
・一対比較法
・MUSHRA法
6. 音の生理学的評価
・呼吸,心拍,脳波
7. 自動車加速音の評価
・吸音材による感性制御
・適応制御を用いた個人の好みへの快音化
8. まとめ